Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 176.911 Zeichen · 353 Bildschirme
「いえいえ」
と、尼はホホ笑んで、彼のひとりのみこみを、訂正した。
「田舎生れです。やはり美濃の内で、これから東へ、八里ほどの在所、北方郷の小野の里で、小野政秀ともうすのが、於通の父親でございました。……が、政秀どのはあのひとが幼い時に、合戦で亡くなられ、身寄りや郎党たちもちり失せて、ひと頃、わたくしの兄の身近な者が養っておりましたが、十三歳の折、手づるがあって、安土のお城へ御奉公にあがりました。あの悧発な子のことですから、お局方にも愛され、信長公からも、またなく可愛がられていたそうですが、天正十年、信長公も本能寺で御最期となり、安土もあんなことになって、あわれやそのときまだ十五歳のおとめも、途々、さんざんな苦労をして、もとの美濃へさまよい帰ってまいりました。――合戦というと、敗れた武者方のみが、みじめらしゅう思われますが、どうしてあんな何知らぬおとめまでが、それはそれは怖ろしい目やら辛い思いをしたらしゅうございます。……けれどまたあのひとのすぐれた素質は、芽生えにうけたその憂き艱難を、自分にとって、よい試煉として身に生かしているようなので、それだけでも、すこしいまの乙女たちとはちがっているなと思われまする。