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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 176.911 Zeichen · 353 Bildschirme

Aozora Bunko

そこで主人秀吉様の思し召しであるが、さしたる寄り道にもならぬ菩提山のふもとゆえ、おとずれて、近ごろの消息を問うてつかわせとのおことばでおざった。――で、わざわざ不破より横道して来たわけで」

「それはそれは御大儀な」

と、尼は、人事みたいにいう。

武藤は、馬の背から従者におろさせた品々を、尼のまえに披露した。すべて秀吉からの贈り物とある。何疋かの絹、二重箱の茶器らしき物、その他、金銀につもっても、少なからぬ程のもの。

松琴尼は物を見ず秀吉の情を見た。年経ても忘れておられないということは、髪をおろした身にも、やはりうれしいにちがいなかった。

男女の愛慾としてでなくても、人間と人間とが歓び合う情愛はなお純粋である。おそらくは、いや、はッきりと、秀吉の心もそうであろう。いまの身には、用なき物質ではあるが、そのお心はありがたく戴いておこう。彼女はそう思いつつ厚く礼をのべて、

「大坂表へお帰りの上は、かように、何も事なく暮しておりますと、よろしくおつたえくださいませ」

と、使いのふたりへ、ことばを託した。

「その通り申しあげておこう」

と、清左衛門は、ざッと云った。