Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 176.911 Zeichen · 353 Bildschirme
「おや? ……」
と、そのとき初めて、三蔵は、うす暗い窓際に、肱をもたせてこっちを見ていた於通の姿に気がついたらしく、
「たれか、そんな所にいたのかい。たれだい、おめえは……?」
と、近づいて行った。
酔いどれの万一の悪戯をおそれて、彼女はすばやく坐り直した。三蔵の眼は、じっと、月洩る竹窓のおぼろ明りに彼女を見すえて、おもわず酒気をさましたらしい。
「ううむ……。これやあ驚いた。お美しくおなんなすったなあ。於通さまでしょう、あんたはね」
「ええ。三蔵も、覚えていましたのか」
「忘れッこはねえが、見ちがえた。あんまりお変りなすったので」
「どう変りました? わたくしが」
「さて、なんといったらいいか。……水もたれそうなお年ばえに」
「だって、わたくしでも、育ちますもの」
「なるほど、育たねえのは、うちのおふくろだけだッたか。はははは。……ところで於通さま、何しにこんな所へ来ているんですえ」
「都へ出たいと考えてね」
「都へ。……造作アねえじゃございませんか。おふくろは何と云いましたえ」
「尼院へ帰れとばかりいって、わたしの心なぞは少しも分ってくれません」
「勿体ねえ、勿体ねえ」