Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 176.911 Zeichen · 353 Bildschirme
「面倒な。……ま、気のすむようにして来い」
秀吉は横を向いて、大村由己と何かべつなはなしをしていた。
秀吉の前を退がると、彼は、飛ぶが如く、やしきへ帰った。
母の室へ、帰りを告げて、坐ったときは、もう心も静かだった。
「甚内どのは、きょうは、常より早い御退出の」
「はい」
と、間を措いて、
「にわかに、さる方面へ、出陣と相成りましたので」
「おう、そうか。今というても、お支度にさしつかえはないはず。心おきなく行って来るがよい」
「……はい」
と、またしばし、ことばの間を措いて、
「ただこのたびの合戦は、いつもの如く、御麾下に従うて参るのと違うて、脇坂甚内の一家の兵をもって戦わねばなりませぬ」
「どうあろうと、戦は戦、武門の名にかけて、存分に働きめされよ」
「もとよりです。……が、この一戦においては、必定、わが脇坂の家は、勝つも滅び、負くればなおのこと、滅ぶものと、かように覚悟いたされます」
「ぜひもあるまい」
「昨日、滝川三郎兵衛めに、お預かりの人質を、主人にも無断で、そっと渡してやりましたこと――はや、お聞き及びでございましょう」
「聞きました。……お許にも、わしという老母がある。