Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.757 Zeichen · 375 Bildschirme
三好武蔵守は、老母とともに、笑って見ていた。
「よほど御空腹で在せられたとみゆるの」
「ウむ、ウむ、またたくまに酒がまわる」
と、姉婿の武蔵守へ、杯をわたして、
「寧子。湯漬くれい」
「お酒は」
「あすもある。止めておこ。飯、飯」
今日の海上の寒かったことや、船中でもいろいろ馳走は並べられたが、こうして老母の顔を見、皆と共に喰う楽しみを予想して、努めて過ごさぬように、空腹を守って来たなどと、秀吉は湯漬を掻きこみつつ、興じ入って語りながら、ふと、箸の先にかけた蕗味噌を見、ちょっと、前歯で味わうように噛みしめて、
「これは、珍味」
と、また箸をのばした。そしてさらに、湯漬を一椀よけいに喰べた。
老母の眼もとは、うれしそうな波に刻まれて、給仕している寧子をかえりみて、
「お気に召されたようのう」
と、ささやいた。
寧子もニコとうなずいた。酬われたもので胸いっぱいな笑みであった。が、秀吉は頓着なく、一語、
「美味かった」
とのみで、箸をおさめ、もう姉婿をつかまえて、話である。
「姉者人も、子たちも、みな達者かの」
「つつがのうおりまする。いずれ伴うて、御年賀に罷り出ましょうが」