Japanische Klassiker mit Furigana
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しんじゅのことば
新樹の言葉
Lesen Sie 新樹の言葉 (しんじゅのことば) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.156 Zeichen · 59 Bildschirme
表二階の十畳間にとおされた。いい座敷だ。欄間も、壁も、襖も、古く、どっしりして、安普請では無い。
「ここは、ちっとも、かわらんな。」幸吉は、私と卓を挾んで坐ってから、天井を見上げたり、ふりかえって欄間を眺めたり、そわそわしながら、そんなことを呟いて、「おや、床の間が少し、ちがったかな?」
それから私の顔を、まっすぐに見て、にこにこ笑い、
「ここは、ね、僕の家だったのです。いつか、いちどは来てみたいと思っていたのですが。」
そう聞いて、私も急に興奮した。
「あ、そうか。どうりで家のつくりが、料理屋らしくないと思った。あ、そうか。」私も、あらためて部屋を見まわした。
「この部屋には、ね、店の品物が、たくさん積みこまれて、僕たちは、その反物で山をこさえたり、谷をこさえたりして、それに登って遊んだものです。ここは、こんなに日当りがいいでしょう? だもんだから、母は、ちょうどあなたのお坐りになっていらっしゃるその辺に坐って、よく仕立物をしていました。十年もむかしのことですが、この部屋へ来てみると、やっぱし昔のことが、いちいちはっきり思い出されます。」静かに立って、おもて通りに面した、明るい障子を細くあけてみて、