Japanische Klassiker mit Furigana
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めいじびじんでん
新編 近代美人伝 (上)
長谷川 時雨
Lesen Sie 新編 近代美人伝 (上) (めいじびじんでん) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.076 Zeichen · 256 Bildschirme
でなければ、いかに仲に立った人が適当の処分をし、よく斡旋したからとて、抱月氏の死後、彼女が未亡人や遺孤に対して七千円を分割し、買入れた墓地まで、心よく島村家の人たちに渡してしまうはずはない。
「私もこの墓地へはいるのだから」
彼女は墓地の相談のときにこういっていたそうである。島村家へ渡したといっても、自分が買って、大切な先生の遺骨を埋めたところゆえ、自分のものだという心持ちでいたのであろう。それでも不安心なところもあったかして、その隣地の背面の空地を買っておこうと呟やいていた。けれど誰れがそのおり須磨子の心のどん底に、死ぬことを考えてもいたと思いつく道理はなかった。
抱月氏は須磨子のために全部を奪われてしまっているものだとさえ思われたが、ある興行師は須磨子にむかって、
「も一儲けするのなら、抱月さんと別れて見せることだ。人気が湧けば金もはいる」
といったとやら。金、金、金……利殖よりほか楽しみのないもののようにいわれた彼女が、女優生活の十年に残しえた三万円を捨ててかえり見ず、縊れ死んでしまって、そういう人たちに唖然とさせたのは痛快なことではないか。
「死んだときいたら、嫌だったことはさらりと消えてしまって、ほんとに好い感情を持つことが出来た。