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Japanische Klassiker mit Furigana

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いちかわくめはち

新編 近代美人伝 (下)

長谷川 時雨

Lesen Sie 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.172 Zeichen · 277 Bildschirme

Aozora Bunko

猿之助も、その間のことはよく知っている。

「浜子さんをお願いする以上、あの方の芸術、あの方を、いわゆる芸人あつかいには決してしません。あの方が、好意をもって出てくださることを、『虫』は別番附にしますから、あの方の待遇は別に御出演下さる口上を書いて添えます。座方からも、決して失礼のないように、楽座の席も別につくらせます。それでもいけなければ、作曲して下さるだけでもよいから。」

私は、猿之助の気持を嬉しいと思った。そこまでに事を運び、主張を通すのは、なかなかな誠意でなければ出来ない。

「さあ、浜子さん、作曲してあげるかあげないか、出演は第二の問題。」

と、私は厳く言った。なぜなら、この位な皮切りをした方が、彼女をお道楽芸にしておこうとするものへの、決戦的な――といおうか、大切にしている腫ものへの大手術だと思ったからだった。

ともあれ、その稽古所と、打合せの場処をつくらなければならない。私が、佃島の家にいることがすくなくなって、新に、母の住むようになった、鶴見の丘の方の家にいたし、佃島では出入りに不便でもあるので、小石川に大きな邸をもって、会計検査院に出ていたお父さんが歿なり、家督の弟御が役の都合で地方にいるので、広い構えのなかに、ポツンと独りで暮している、若い時分は、詩文と、名筆で知られていた、浜節子という、これ