Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
やや鼻音を帯びたうるんだ肉声で流れるように読むアンリエットは、渦巻く髪をときどき後ろへ投げ上げた。どちらも片手で受けている頁の上へ曲げよせている窮屈な肩がその度びに放れたが、またいつの間にか両方から傾きよった。矢代は外国へ来た日本人の多くの者が、みなこのような勉強法をして来たのだとふと思った。沢山な金銭を費っての勉強であってみれば、楽しみながらの勉強も自然なことと思われたが、しかしたとえ毎日これから今のような険悪な姿勢がつづくのを思うと、ひとつ日本の礼儀の伝統だけは持ち堪えていたいものだと身を崩さず緊きしめてかかるのであった。この音読の練習は切迫した肩の支持のために、時間も意外に早くすぎていった。アンリエットは本をばたりと閉じると、
「今日はこれだけにしときましょう。」
と云って椅子から立ち上った。矢代はアンリエットをあくまで教師として扱いたかったから、
「ありがとう。それから研究費は一時間幾らです。」とすぐ訊ねた。
「久慈さんのは二十法ですが、あなたのは十法にしときますわ。」
向うから出かけて来て一時間十法なら日本金にして二円五十銭であるから、破格に安い値であった。