Japanische Klassiker mit Furigana
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にちにちへいあん
日日平安
山本 周五郎
Lesen Sie 日日平安 (にちにちへいあん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.297 Zeichen · 56 Bildschirme
たったいまここから逃げだせ、という気持だった」
彼の腹の中で妙な音がした、その音がなにを意味するかは知る者ぞ知るであろう、彼はなさけないような顔をして、ぐっと生唾をのんだ。
「いや虚栄心じゃない、これは虚栄や偽善じゃあない、良心の問題だかもしれない」と菅田平野は続けた、「――おれは恥ずかしいような、照れくさいような気持になった、そこがふしぎなんだが、いや、おれにはふしぎでもなんでもない、このへぼ頭から絞りだした策戦が、あんなにみごとに成功したということは恥ずかしい、策戦をたて、自分が行動しているあいだはよかった、心身とも爽快に緊張していたが、策戦が完全に成功し、一つの齟齬もなくすべてが完了したとき、そうだ、おれは索寞と恥ずかしくなり、いたたまれなくなった……どうしてそこにいられるか、事が完了した以上おれは余計な人間じゃないか、あとは、そうだ、はっきり云おう、あとはおれの功績が計算される番だ、おれはそれを願っていなかったろうか、おれは初めからそれを願っていた、おれは初めにこの蔓は放さないぞと思った、おれはその蔓をものにして仕官するつもりだった、万事が完了したとき、それがはっきりと浮きあがってきたんだ、……となれば、おれの良心としてそこにいられる道理がない、これは侍の良心の問題だ」