Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.841 Zeichen · 25 Bildschirme
由紀は安倍休之助の妻でございます、どうぞそうおぼしめしたうえでおはなし下さいまし」
さすがに身がふるえ声がおののいた。頼母はしずかな眼で由紀の面を見まもっていた、彼女の言葉がしんじつのものであるか、それともいちじの昂奮にすぎないかをみきわめようとするように、そしてやがてそっと頷いた。
「よいおかくごです、それを聞けばもう云うことはありません。お父上も察しておられたのでしょう、承知しなかったら渡すようにと手紙を預かって来ました、あとでごらんなさるがいい」
そう云って、一通の書面をさしだし、黙礼をして帰っていった。由紀は居間へはいってすぐに披いた、父の手跡で当分のあいだ出入をさし止めるという意味が書いてあった、つまり絶縁状である。……ではもう母上にも会いにはゆけないのだ。決心はしていたもののまさか絶縁とまでは考えなかったので、由紀の心ははげしくよろめき、母がどんなに悲しがっているかと想像されて眼のさきが暗くなるような気がした。けれども由紀はすべてを自分ひとりの胸に秘して置いた。良人にもはなさなかったし、帰って来たなほ女にも黙っていた。嫁したさきから離別される人さえある。