Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.091 Zeichen · 30 Bildschirme
とひじょうなお忿りで、とうとうあのような重科を仰せだされたのだそうだ」
「もうよさないか……」
平之丞がそう云って話をさえぎった、
「殿があらぬことを申すと仰せられたのならそれが正しいに違いない、そういう噂は聞いた者が聞き止めにしないと、尾鰭がついて思わぬ禍を遺すものだ、ほかの話をしよう」
「そう云おうとしていたところだよ」
と六弥が手をあげた、
「みんな向うを見て呉れ、実はあれがきょうの馳走なんだ」
そう云われてみんな救われたように、彼の指さすほうへふり返った。
広庭のかなたに小袖幕をかけまわした席が設けてあり、そこへいま色とりどりの花を撒きちらしたように、美しく着飾った娘たちが十人ばかり出て来た。やはり花見の宴に集まったのだろう、よく見ると桃山風の華麗な屏風の前に琴が二面すえてある、娘たちは初めしきりにゆずり合っていたが、座がきまるとやがて代る代る琴をひきはじめた。桜の花蔭に、掛けつらねた小袖幕と、極彩色の屏風と、そして眼もあやな娘たちと衣装と、これらの絢爛たる丹青のなみの中からわきおこる琴曲の音いろと、すべてがあまり美しくて、見る者はむしろ哀愁をおぼえるくらいだった。