Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.091 Zeichen · 30 Bildschirme
四
いつも口の悪い三寺市之助という若者も、さすがに槍のつけどころがないとみえ、うんと唸ったきり言葉が出なかった。そして暫くすると立ちあがって、「おれはあの中から嫁を選んでくる」そう云いながら、樹蔭づたいにそっと近づいていった。平之丞はこのあいだずっと、娘たちの中にいる一人の姿を熱心に見まもっていた。それはお石だった、はじめ出て来たときはどこかで見おぼえがあるくらいに思った、そして間もなくそれがお石だとわかると、彼はわれ知らず眼をみはった。あんなにも成長していたのかと心から驚かされた。
四
平之丞の印象にあるお石は、色の黒い、赭毛の、からだの痩せて小さな、みっともない子であった。けれどもいまそこに見るお石は「みっともない」どころではなく、十人あまりいる娘たちの中でも際だって美しい、その美しさは髪化粧や衣装のためでもなく顔かたちでもなかった、いってみればお石のぜんたいから滲みでるもの、外側の美しさではなくて、内にあるものがあふれ出る美しさのようだ。――そうか、もう十七になるんだな、平之丞はふと春秋を思いかえすような気持で、眼を細めながらその姿を瞶めつづけていた。