Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.091 Zeichen · 30 Bildschirme
彼はふかい溜息をつき、六弥の盃に酌をした。
平凡ではあるが温かいしずかな結婚生活が始まった。明くる年に長男が生れ、一年おいて長女ができた。そでは明るいまっすぐな性質で、どっちかというと賑やかなことの好きなほうだった。からだつきも肥えているし、いつも眼の笑っている顔だちで、常に身のまわりに活き活きした空気を漲らせていた。けれど三人めの子を身ごもってから健康がすぐれなくなり、嫁して来て六年めの秋、七月の子を身にもったまま嘘のようにあっけなく世を去ってしまった。……それは平之丞にとって小さからぬいたでだった、彼はうちのめされ、こころ昏んだ、「私には妻の縁が薄いとみえます」母に向かってそう云ったが、それはお石のことをも含めての述懐に違いない、母親はそのとき彼はもう恐らく再婚しないであろうと推察した。
時はあらゆるものを掠め去るものだ、どんなに大きな悲しみも苦痛も、過ぎてゆく時間に癒されないものはない。お石のばあいとは別の意味で、妻の死はひじょうに打撃だったけれど、さいわい母が丈夫で二児の養育をひきうけて呉れたし、いとまのない勤めがやがて平之丞を立ち直らせた。