Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.170 Zeichen · 22 Bildschirme
おかやはもう四十三という年になっていた、健康な彼女は血色もよく、肉付のひき緊った小柄な躯つきは昔のままだったが、ながい労苦を語るかのように、鬢のあたりには白いものがみえだしていた。
「おかや、牧二郎もこれで一人前になった」彼はしずかにそう口を切った、「……今日まで二十三年、新沼の家のためにおまえの尽して呉れた事は大きい、おれが幼弱だった頃のことは父上に聞いたし、物ごころがついてからはおれ自身の眼で見ている、父上のことは云うまい、牧二郎はおまえの力で育ったのだ、牧二郎が今日あることはみんなおまえのおかげだ、有難う」
「…………」おかやは声を立てずに笑った、それは毎もの愚かしい無感動な笑い方である。「今宵おれは妻を迎えた」彼はさらに続けて云った、「……明日からは妻がおまえに代る、おまえは牧二郎にとって母以上の者だ、妻にも姑と思って仕えるように云った、部屋も父上のお居間に移って貰おう、明日からおまえは新沼家の隠居だ、今こそおまえの休む番が来たのだ」
だからと云いかけて、彼はじっとおかやの眼を覓めた。それは彼女の眼を透して心のなかまで覗くような烈しい視線だった、そうして相手の眼を覓めながら彼は云い継いだ。