Japanische Klassiker mit Furigana
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にっき
日記
宮本 百合子
Lesen Sie 日記 (にっき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.669 Zeichen · 24 Bildschirme
三月十日
八月八日
三月十日
○晴れて、きつい西風。
前の家のトタンやねが反射する、そしてこっちの室のおくの障子にうつる。
○北窓をあけると、白雲のういた空。遠くの学校の上のガラスが光った、こういう風の日、樹木の色は、寒げにかじかんでいる。が、青桐の芽の出ない枝々や幹は水気をふくんで、いつの間にかすんなりとせいがのびたように見える。
○一点の雲のない空に東から丸い月、風がふいている。
「おや光った風がふく」と思うような日、
○霜柱のたっていた処が、荒れたままの肌でふくらんで来ている。
○楓がいつか独特の紅かっ色にこまかい梢を区別しはじめて来た。
○六時になってもまだ戸外はうすら明るい。風も凪いだ。
西空に鳩羽色の雲があるばかりで灰色っぽい水色にくれかかる空の光の下で大きい梧桐の上向きの枝々は、芽の出る前の春の□木の上向きの枝々はあかるいときより一層上へのびて見えた。
〔欄外に〕
春の風だった日がつづく。
○机の上にナの花 こぼれた花べんが、原稿紙の間にはさまる。
八月八日――長者町 小松
余りくるしくてやり切れず。
古在氏の知人の山腰青年の紹介してくれた小松という宿へ来る。