Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme
「紙帳とていってな、紙で張った蚊帳みたいなものを釣って寝るのだ。寒さよけにもなるしな、火を焚いておくと、熊はくるがおとなしいよ。」
私は熊の子と友達になってもいいなという気持ちになる。紙帳のことは『浅間が嶽』という、くさ双紙でおなじみになっている、星影土右衛門という月代のたった凄い男が、六部の姿で、仕込み杖をぬきかけている姿をおもいだし、大きな木魚面の、デコボコ頭の、チンチクリンの老人を凝と見詰めた。
「おじいさんは硫黄山へ何もかもつぎこんでしまったのだって?」
「出来上ればみんなを悦ばせるのだが――」
おじいさんは、版下を書くように、細かく綺麗な字を帳面一ぱいに書きつけたのを出した。分らない私にも説明しようとした。四寸ばかりな算盤をだして幾度もはじいた。
老爺さんの根気に負けて、父が福島県下へ連れてゆかれたのは、磐梯山だか吾妻山だかが破裂したすぐあとだった。父はヘトヘトになって帰って来て座らないうちにいった。
「出来るだけのことならしてやろうよ、あの年でたいした気根だ。」
あの老人が山へはいると仙人のように身軽になって、岩の上なんぞはピョンピョンと飛んでしまい、険しい個所ではスーッと消てしまったように見えなくなる。