Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme

Aozora Bunko

真面目な会話をしている時に、子供心にも、狐につままれたのではないかと、ふと、老媼さんを呆れて見詰めることがあった。

「祖父さんも何時帰りますことかねえ。」

そこまでがほんとの話で、突然、まつは愁いとみな仰ゃんすけれどもなア――とケロケロと唄いだすのだった。そして小首を傾げて、

「あれはたしか、長唄の汐くみでしたっけかねえ。あの踊りはいいねえ、――相逢傘の末かけて……」

と唄いながら無器用な大きな手を振りだす。私が吃驚していると、その手でひとつ、招き猫のような格好をしておいて、鼻の下へもっていって差恥んだように首を縮めて笑う。

布子の下の襦袢から、ポチリと色褪めた赤いものが見えるので、引っぱりだして見ると、黒ちりめんに牡丹の模様の古いのだった。綴ぎ綴ぎで、大きな二寸もある紋があった。

おばあさんの父親安芸守は、白河で切腹したとき、上野の法親王にはお咎めのないようにと建白書のようなものを書いたのだときいていたが、おばあさんに正すと、遠い昔の物語りでも聞くように目を細めて、そうですよそうですよというきりだった。

「戦争なんて、もうもういやなこと、いやなこと、真っ平さね。