Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme
「盗棒、盗棒、盗棒――」
と喚きだした。もとより、あたしもお其にかせいして、盗棒とどなった。
諸方から人が出て来たが盗棒はいなかった。するとお其はあたしに指さして、
「盗棒!」
と言った。幼心にはずかしさと、ほこらしさで、あたしもはにかみながら、
「盗棒!」
とおうむがえしに言った。みんなが笑った。あたしの祖母がお褄をとって来て、巾着からお金を払い、お其にもやった。八百屋の親たちはしきりにおじぎをした。
おせんべやの首振婆さんが私を抱えて帰った。お其も遊びについて来た。
間もなくべったら市の日が来て、昼間から赤い巾をかけた小さな屋台店がならんだ。こんどはお其があたしの後について、肩上げをつまんで離れずにいた。祖母や女中が目を離すと、コチョコチョと人ごみにまぎれ込んで、屋台のものをつまむので、そのたびにお其はハラハラしたのだろう大きな声で祖母をよんだ。祖母はニコニコして後からお鳥目を払って歩いて来た。
お其のうちは八百屋をやめて焼芋屋になった。店の大半、表へまで芋俵が積まれ、親父さんは三つ並べた四斗樽のあきで、ゴロゴロゴロゴロ、泥水の中の薩摩芋を棒で掻廻わした。