Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme

Aozora Bunko

旧聞日本橋

私はよそから帰って来て、なにごとだろうかと思った。それよりも小さな子供らしいことで、自分もみんなに交って、自分の家になにがあるのかと立って見ていた(見物の雰囲気がやわらかいものであったのが、子供にも安心させていたものであろう)。

そこにはピカピカした黒塗りの車があった。車夫は勢いのいい人たちで汗をふいていた。一人はさしびきの綱を肩からかけていた。

何が出てくるかな? と私も好奇心に待ちながめていると、横浜の清水さんが長い顔に山高帽子をかぶって出てきて、車に載った。見物人はざわついた。

「しうかだ、しうかだ。」

「松島屋だ、我童だ。」

「違う時蔵だ。」

みんな役者の名である。あんぽんたんは通弁さんだということを知っているからニコリと笑った。すると、通弁さんもニコリと笑った。青い顔に、薄芋があって鼻が高い。

見物たちはきまり悪くもなく、しうかだの、時蔵だの、我童だのと取り廻いて騒いだ。車が曳きだせないので、通弁さんは車の上から、

「あぶない、あぶない。」

なんて、技巧的に、やや身を前屈みにして、手を出して制した。そして反身になって車を飛ばせた。前綱は片手をグルグル振って、見送られているので得意に駈けた。