Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme
かなり物好な住居であったのであろうが、あんぽんたんがわすれないのは、法印さんではなくって、娘のお染さんという女だった。
娘といっても、お染さんは、三十を越していたかと思うがその頃のおつくりは地味ゆえもっと若かったのかも知れない。大柄な、色の白い人で、別段別嬪とは思わないが、『源氏物語』の中の花散る里――柳亭種彦の『田舎源氏』では中空のような、腰がふといようで柔らげで、すんなりしていて、裾さばきのきれいなのが、眼にしみて消えないのだった。花散る里を、後日お染さんによそえたのは、お染さんを忘れない日に見たその庭に、一本の梅の木があって、花が咲いていたのが、そんなふうに思わせる種だったのかも知れない。
お染さんのことで、母が、こんなことをいったのを、子供は耳をとめていたのだ。
「お染さんが手拭を出すのに、どれにしようかって、葛籠をあけると、役者の手拭ばかりが一ぱいはいっていて――」
あきらかに、驚嘆しているうちに、お染さんの何かを語っていたが、法印さんが死にでもしたのか、それきり家とは縁のない人になってしまった。
「乾山の皿はどっさりあったのだが、みんな、法印に賺かされて、もってってしまわれやがった。