Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme
先生はその手首をグイとひいたので、味噌汁を肩から浴びてしまったが、カッとした勢いで引出したので、汚い老人はブルブル顫えながら出てきた。
先生は勝誇って揚々と、片っぽの手に鍋をさげ、片っぽの手で老人の肩をひっつかんで引摺った。大得意で先生は大通りを人形町の交番へと、老人を引渡しにいった。生徒も弥次馬も後からぞろぞろとつづいた。
おまっちゃんもあたしもその時だけは先生を憎んだ。なにをきかれても答えなかった。
祖母は秋山先生一家を信頼しきっていた。時折訪問したが、孫たちの方へは目もかけずに帰った。台所口から家の使が、お盆へ乗せてふくさをかけたものを持って来ていたが、厳しくしてくれと頼んでいる様子だった。
おまっちゃんは強情だった。二人がお灸を据えられるとき――私の家では、一日に二度も三度もお灸の出る時があった。甚しい時は、お灸を据えられて後泣きをいつまでもしているからといってはまた据えられた。灸は薬だからと、灸好きの祖母が許すので、疳癪もちの母は、祖母へ対して不服な時も、父へ対して不満なときも、子供の皮膚を焼いた。痩せた女の股ほどもある腕をもっている体格の、腕力の強い母親だった。