Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme

Aozora Bunko

「おっかさんやおっかさんや。」

と猫のように優しくよんだ。どんな年寄りが出てくるのかと思ったら、色の浅黒い、顔の長いひっつめのいちょうがえしに結った、額に青筋の出ている、お歯黒をつけた、細二子の袷に黒い帯をひっかけ(おかみさん結び)にした女が出て来て、

「なんだ今時帰って来て――」

と突然どなってつづけた。

「なまけものめ!」

「そ、そんな事はない。」

荻野六郎はドンモリになっていった。

「薬が来ているだろう。」

女は返事なんぞしないで、困りきっていたあたしには猫撫で声で、

「まあ嬢ちゃん、御一緒だったのですか? 爺におんぶしてらっしゃればいいのにさ。なにかまうものですか。お薬とりにいらしったんだって? まあ、まあ。」

そしてまた六郎にはどなって睨めかえした。

「わかってるよ。薬なんぞ、今時分ノソノソ取りに来たりして!」

彼女はニヤニヤと笑って、キュッキュッと長刀ほうずきを噛みならしながら、

「嬢ちゃん、ようく覚えてらしって、祖母様に申上げてください、あたしが晩にもってあがろうと思っておりましたって――ひょっとこが余計なことを言っちまうから……」

それでも縁側まで薬をもって来て渡してくれた。