Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme

Aozora Bunko

三番目のあたしの妹を可愛がって、自分の家へ連れていってしまうこともあった。あたしたちは幼いお丸ちゃんによくこういって聞いた。

「あの顔こわくない?」

名の通り円満なおまるちゃんは首を振って笑っていた。

アンポンタンと妹のおまっちゃんは上野のお花見に、父に連れてってもらった時――もう夕方だった。多くの人が浮かれながら帰ってゆくあとを、父は子供の方は忘れたように桜を見ながらブラブラ歩いていた。二人は手をつないで後からついていったが、そろそろ暗くなりかけた時、賑やかな一団が、間は離れていたが摺れちがった。鉢巻をした男の頭に肩車をして縋っている小さな女の子がいる。よく見るとおまるちゃんだった。赤いはだぬぎで、おんなじように鉢巻きをしていた。それをとりまく男女の一群は、みんな片はだぬぎで、赤や鬱金の木綿の鉢巻きをしてはしゃいでいた。

「ああおまるちゃんだ。」

彼女の小さい姉たちは声をかけた。

「おまるちゃん――」

彼女は男の頭の上から答えた。

「亀の年だあい。」

そして、キャッキャッと悦んで男の頭を叩いた。叩かれているのは理屈やの輝夫だった。

「そうだ、そうだ。」

と男女は陽気に合づちをうって行きすぎてしまった。