Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme

Aozora Bunko

おあぐさんという名は妙だが、下町ではよく阿久利という名をつける。大概大事な子で、子育ちの悪い家でつける者だという。このおあぐさんが、年寄り連の理想的な娘なので、あの通りにお優しく、しとやかな声を出さなければいけないと、よく引合に出して叱られた。おあぐさんの家は向う新道の角から二軒目で、二階と塀を通りにもち、玄関はわざとのように、敷石のある露路に古い磨いた格子戸をもっていた。冬は朝早くから寒ざらいといって長唄のおさらいをする。午後っからもする。三味線の音がよく聞えるので、ソラおあぐさんはお浚いだと私も三味線をもたされるので、その方角は鬼門だった。

その他、大丸直属の仕立屋や縫箔屋が幾軒かあった。店蔵づくりの、上方風の荏柄ぬりの格子窓で、入口の格子戸の前に長い暖簾が下っていた。帯ばかりくける家もあった。天水桶があって――桶といっても上に乗っている手桶だけ木で、下の天水桶は鋳鉄が多かった。かなりいい金魚が飼ってあるので、金網を張ってあるのもあった。その一軒の大仕立屋におしゅんさんという美しい娘がいて、上方風の「油屋お染」のような濃艶なおつくりしていた。