Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.663 Zeichen · 97 Bildschirme
「わたしは山の手からわざわざ訪ねて来た者ですが、そんなら帰るまで入口に待っています」
隣りのおかみさんに一応ことわって、半七は格子の中へはいった。上がり框に腰をかけて煙草を一服すっているうちに、かれはふと思い付いて、そっと入口の障子を細目にあけた。内は六畳と四畳半の二間で、入口の六畳には長火鉢が据えてあった。次の四畳半には炬燵が切ってあるらしく、掛け蒲団の紅い裾がぞんざいに閉めた襖の間からこぼれ出していた。
半七は上がり框から少し伸びあがって窺うと、四畳半の壁には黄八丈の女物が掛かっているらしかった。彼は草履をぬいでそっと内へ這い込んだ。四畳半の襖の間からよく視ると、壁にかかっている女の着物は確かに黄八丈で、袖のあたりがまだ湿れているらしいのは、おそらく血の痕を洗って此処にほしてあるものと想像された。半七はうなずいて元の入口に返った。
その途端に溝板を踏むあしおとが近づいて、隣りのおかみさんに挨拶する男の声がきこえた。
「留守に誰か来ている。ああ、そうですか」
金次が帰って来たなと思ううちに、格子ががらりとあいて、半七とおなじ年頃の若い小粋な男がぬれ手拭をさげてはいって来た。