Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.865 Zeichen · 432 Bildschirme
その伊勢屋の息子が此の頃すこし乱心したようになって……。息子は久次郎といって、ことし二十歳になるんですが、俳優の河原崎権十郎にそっくりだというので、権十郎息子というあだ名をつけられて、浮気な娘なんぞは息子の顔みたさに、わざわざ遠いところから半紙一帖ぐらいを伊勢屋まで買いに来るようなわけで、かたがた其の店も繁昌していたんですが、例の行者のところへ行って来てから、なんだか少し気が変になったというんです」
「その息子も祈祷をたのみに行ったのか」
「久次郎のおふくろというのが、その春の末頃から性の知れない病気でぶらぶらしているので、茅場町に上手な行者があるという噂をきいて、一度見て貰いに行ったのが病みつきになってしまったんです」
久次郎も世間の噂に釣り込まれて、最初は半信半疑で母のお豊を連れてゆくと、神のように美しい行者はお豊をひと目見て、これは怪しい獣の祟りである、自分の祈祷できっと本復させてやると云った。久次郎もそれを信用して、なにぶんお頼み申すと云うと、行者はお豊を神壇の前に坐らせて、一種のおごそかな祈祷を行なってくれた。その効験は著しいもので、お豊はそのあくる朝から神気がさわやかになって、七日ほどの後には元の達者なからだに回復した。