Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.865 Zeichen · 432 Bildschirme
「やい、待て。野郎」
跳ね起きてそのあとを追おうとする辰蔵を、半七はまた押えた。
「おめえも大人気ねえ。まあ、落ち着くがよかろう。こうして、お客様が二人はいって来たんだ」
無頼漢でも博奕打ちでも、さすがに客商売の辰蔵は客に対して苦い顔をしているわけにも行かなかった。殊に相手の馬子は繋いである馬を解いて、そのまま出て行ってしまったので、彼は眼の前の客をかき退けてそれを追ってゆくことも出来ないので、着物の泥をはたきながら急に笑顔を作った。
「どうも相済みません。飛んだところをお目にかけまして……」
「おめえは苦労人らしい。あんな馬子を相手にしてどたばたしちゃあいけねえ」と、半七は笑いながら床几に腰をかけた。
「まことに恐れ入りますが……」と、辰蔵は突ん曲がった髷の先を直しながら云った。「懇意先に急病人が出来たというので、おふくろはその手伝いに行きましてね。もう午過ぎだというのに、まだなんにも支度がしてねえのでございますが……。まあ、お茶でも上がって、どこかよそへお出でなすってください」
かれは小女に指図して、煙草盆と茶とを運ばせると、半七は表を見かえって声をかけた。