Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.865 Zeichen · 432 Bildschirme
なんにも知らないで其の話をしているお雪のうしろには、きっと撫子の浴衣の影が煙のように付きまつわっているに極まった。それを思うと、文字春は恐ろしくもあり、また可哀そうでもあった。
慾得ずくばかりでなく、かれは弟子師匠の人情から考えても、久しい馴染の美しい弟子がやがて死霊に憑り殺されるのかと思うと、あまりの痛ましさに堪えなかった。さりとてほかの事とは違って、迂濶に注意することもできない。それが親達の耳にはいって、師匠はとんでもないことを云うと掛け合い込まれた時には、表向きにはなんとも云い訳ができない。もう一つには、そんなことをうっかりお雪に注意して、自分が死霊の恨みをうけては大変である。それやこれやを考えると、文字春はこのまま口を閉じてお雪を見殺しにするよりほかはなかった。
重ねがさね忌な話ばかり聞かされるのと、ゆうべ碌々に眠らなかった疲れとで、文字春はいよいよ気分が悪くなって、午からは稽古を休んでしまった。そうして、仏壇に燈明を絶やさないようにして、ゆうべ道連れになったお安の成仏を祈り、あわせてお雪と自分との無事息災を日頃信心する御祖師様に祈りつづけていた。