Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.865 Zeichen · 432 Bildschirme
「へえ。そんなことを誰か云うものがあるんですか。まあ、けしからない。どういうわけでしょうかねえ」
「方々でそんなことを云うもんですから、お父っさんや阿母さんももう知っているんです。阿母さんは忌な顔をして、あたしのこの足ももう癒らないかも知れないと云っているんですよ」
「なぜでしょうね」と、文字春は胸をどきつかせながら訊いた。
「なぜだか知りませんけれど」と、お雪も顔を曇らせていた。「お父っさんや阿母さんも其の噂をひどく気に病んで、丁度お盆前にそんな噂をされると何だか心持がよくないと云っているんですの。誰が云い出したんだか知りませんけれど、まったく気になりますわ。津の国屋の前には女の幽霊が毎晩立っているなんて、飛んでもないことを云われると、嘘だと思っても気味が悪うござんす」
文字春はお雪が可哀そうでならなかった。お雪はなんにも知らないに相違ない。知らなければこそ平気でそんなことを云っているのであろう。むしろ正直に何もかも打ち明けて、なんとか用心するように注意してやりたいとは思ったが、どうも思い切ってそれを云い出すほどの勇気がなかった。かれはいい加減の返事をして其の場を済ませてしまった。