Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.744 Zeichen · 434 Bildschirme
これらの事件の蔭には、善八の眼が絶えず光っていた。半七も一々その報告を聞いていた。さしあたりは何処へむかって手を着けることも出来なかったが、事件の筋道はだんだんに明るくなって来るように思われた。
五
九月二十日の夜なかに、下谷坂本の煙草屋次右衛門は何者にか殺された。その怪しい物音を聞きつけて、近所の者共が駈け付けた頃には、相手はもう姿を隠していた。次右衛門は刃物で喉と胸を刺されていたが、微かな息の下で云った。
「大……年……年造……」
まだ何か云いたそうであったが、それぎりで息は絶えた。勿論、早速に訴え出て検視を受けたが、下手人は遺恨か喧嘩か物奪りか、すぐには判らなかった。善八がそれを聞き込んだのは明くる日の朝で、半七を案内して下谷へ乗り込んだのは四ツ(午前十時)頃であった。二人は自身番へ寄って、ひと通りの報告を聞いて、更に家主の案内で次右衛門の煙草屋へ踏み込んだ。二間間口の小さい店で、奥は六畳と二畳のふた間、二階は四畳半のひと間である。
女房には死なれ、娘は奉公に出ているので、次右衛門は当時ひとり者である。その裏に下駄の歯入れが住んでいて、その婆さんのお酉というのが朝晩の手伝いに来ていたと、家主は説明した。