Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.744 Zeichen · 434 Bildschirme
これにはわたくしも困りました。この死骸は型のごとく検視を受けて、近所の寺へ仮り埋めされたことは云うまでもありません。
死人の額へ三角の紙をあてて、それに『シ』の字をかくのは珍らしくないが、額に『犬』という字をかくのは珍らしい。まあ、犬畜生のような奴だと云うのでは無いかと思われます。江戸時代のよし原では、心中した娼婦の死骸は裸にして葬ると云い伝えていますが、そのほかには死骸を裸にして葬るという話を聞きません。どう考えても、この死骸は因縁つきに相違ないのです。
こう申せば、いずれこの事件に、蟹のお角が係り合っていると云うことは大抵お察しが付くでしょうが、どういうふうに係り合っているかと云うのがお話です。まあ、お聴きください」
二
それから二日目の七月十三日の夕方である。神田の半七の家では盂蘭盆の迎い火を焚いて、半七とお仙の夫婦が門口へ出て拝んでいると、旅すがたで草履をはいた一人の男が、その迎い火の煙りのまえに立った。
「親分、御無沙汰を致しました」
「あら、三ちゃんかえ」と、お仙が先ず声をかけた。
「ええ、三五郎ですよ。お迎い火を焚いているところへ、飛んだお精霊さまが来ましたよ」