Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.744 Zeichen · 434 Bildschirme
死骸は素っ裸で、どこにも疵の痕はありません。まず普通の病死らしく見えるのですが、唯ひとつ不思議なのは、そのひたいのまん中に『犬』という字が筆太に書いてあるのでした。いかに貧乏人でも古浴衣ぐらいは着せてやるのが当然であるのに、この死骸は素っ裸にされて、額には犬と書かれている。これには何かの仔細がありそうだと、多吉もかんがえました。
第一、それが普通の病死で、どこかの寺へ送って行くならば、多吉の顔を見ておどろいて、早桶を大川へほうり込んで逃げ出すはずがありません。これには何かの秘密があるのは判り切っています。おそらく彼の二人は多吉の顔を見識っていて、飛んだ奴に出逢ったと周章狼狽して、早桶を抛り込んで逃げたのでしょう。平気で摺れ違ってしまえば、多吉の方では気が付かずに通り過ぎたかも知れなかったのですが、あんまり慌てたので却ってぼろを出したのです。
しかし多吉の方では、その二人の顔に見覚えが有るような、無いような、どうもはっきりした見当が付かないので困りました。どこの誰ということを思い出せば、すぐに探索に取りかかるのですが、それが思い出せないので手の着けようが無い。