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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(六)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.831 Zeichen · 396 Bildschirme

Aozora Bunko

三

「ほかにも何か仔細があるかな」と、半七は又かんがえた。

三

この年の花どきは珍らしく好い天気の日がつづいて、花にあらしの祟りもなかったが、四月に入ってから陰った日が多かった。そのあいだには卯の花ぐたしの雨が三日も四日も降りつづいて、時候はずれに冷える日もあった。それでも五月の節句前から晴れて、三、四、五、六、七の五日間は初夏らしい日の光りが、江戸の濡れた町をきらきらと照らした。

ほかの仕事が忙がしいので、半七も忘れていたが、五月はじめは府中の祭りである。六所明神の例祭は三日に始まって、六日の朝に終る。そのあいだすべて晴天であったのは仕合わせで、諸方から集まる参詣人の混雑も思いやられた。

その八日の午後である。半七は下谷まで用達しに行って帰ると、幸次郎が一人の客を連れて来て、親分の帰るのを待っていた。

「親分、天気がまた怪しくなって来ましたね」

「むむ。どうも長持ちがしねえので困ったものだ。また泣き出しそうになって来た」

云いながら不図見ると、眼の前にも泣き出しそうな顔をした人が坐っていた。それは四十前後の痩形の男で、お店の番頭ふうであることは一と目に知られた。