Japanische Klassiker mit Furigana
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つきとてぶくろ
月と手袋
江戸川 乱歩
Lesen Sie 月と手袋 (つきとてぶくろ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.541 Zeichen · 80 Bildschirme
殊に君の演戯が必要だ。命がけの大役だよ。君には大丈夫それがやれる。わけもないことだ。怖がりさえしなければいいのだ。舞台に立ったときのように、ほかの一切のことを忘れてしまうんだ。わかったね」
「きっとできるわ。あなたが教えてさえくれれば」
あけみはまだワナワナふるえていたけれど、強い決意を見せて云った。ふたりの気持がこんなにピッタリ一つになったことは一度もなかった。
克彦は股野の死体のそばにしゃがんで、念のために心臓にさわって見た。むろん動いているはずはない。そんなことをしないでも、生体と死体とは一と目でわかる。その顔に現われている死相と、無生物のようなからだの感じでわかる。
紺色のベレ帽が、死体のそばに落ちていた。まずそれを拾った。太い鼈甲縁の目がねは、折れもしないで、青ざめた額にひっかかっていた。それをソッとはずした。
(だが、このジャンパーを脱がせて、また着せるのは大変だぞ)
「あけみ、これと同じ色のジャンパーがもう一着ないか。着がえがあるだろう」
「あるわ」
「どこに?」
「となりの寝室のタンスのひきだし」
「よし、それを持ってくるんだ。いや、まだある。