Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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つきとてぶくろ

月と手袋

江戸川 乱歩

Lesen Sie 月と手袋 (つきとてぶくろ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.541 Zeichen · 80 Bildschirme

Aozora Bunko

四

そして、事件から三日目に、股野重郎の葬儀は無事に終った。

克彦もあけみも、この難場を事なく切り抜けた。死者の家族が、葬儀の忙しさにまぎれて、その悲しみを一時忘れているように、犯罪者の恐怖も、まぎれ忘れていることが出来るもののようであった。一つは彼らに十二分の自信があったためでもあるが、もう一つは、こういう犯罪を敢てする者の、一種の不感症的性格から、彼らはなんら怯えることもなく、その数日を過ごすことが出来た。

四

それから一カ月余りが過ぎ去った。はじめのあいだは、あけみの家へも、克彦のアパートへも、警察の人が度々やって来て、うるさい受け答えをしなければならなかったが、それも当座のあいだで、この頃では忘れたように、事件関係の出入りがなくなってしまった。

克彦は十日ほど前から、アパートを引きはらって、あけみの家に同居していた。愛し合うふたりにとって、これはごく自然の成りゆきである。知人たちも、別にそれを怪しまなかった。克彦にしては、若しおれが殺人者なら、こうはできないだろうという逆手の潔白証明でもあった。

彼の殺人は、考えて見れば、正当防衛と云えないこともなかった。