Japanische Klassiker mit Furigana
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つきとてぶくろ
月と手袋
江戸川 乱歩
Lesen Sie 月と手袋 (つきとてぶくろ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.541 Zeichen · 80 Bildschirme
あけみも、少し酔っていた。キャッキャッという追っかけっこさえはじまった。花田は逃げまわって、階段を降り、台所にはっていった。
「いけません。奥さま、花田さんがいけません」
女中のきよが花田に抱きつかれでもしている様子だった。
あけみは階段の中途から、興ざめ顔に引き返して来た。克彦は書斎のソファにグッタリとなっていた。顔は酔いのためまっ赤だった。あけみはその横に、倒れるように腰かけた。酔っていても、何かしら不安なものがおそいかかって来た。どこか廊下のすみの暗いところに、幽霊が立っているような気がした。股野の幽霊が。……こんな奇妙な感じは初めてのことであった。
そこへ、ドタドタと恐ろしい足音をたてて、酔っぱらいの花田が階段をあがって来た。そして、ふたりの前に現われた。きよがキャッキャッと言いながら、そのあとを追って来た。
「奥さん、手品を見せましょうか。いま下でこのボール紙の菓子箱の蓋と鋏を持って来たのです。これでもって僕のとっておきの手品をお眼にかけまあす」
花田はフラフラしながら、マージャン卓の向うに立って、さも奇術師らしい恰好をして見せた。
「このボール紙から、いかなるものが出来上がりましょうや、お目とめられてご一覧……」