Japanische Klassiker mit Furigana
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ますおとし
枡落し
山本 周五郎
Lesen Sie 枡落し (ますおとし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.765 Zeichen · 67 Bildschirme
外へいって遊んでこいと云われるが、外へ出ても遊ぶ相手などいるわけはなかった。彼は夜の畦道や草原をあてもなく、ぶらぶらあるいたり、草原に腰をおろして、ぼんやり月や星を眺めるだけである。月や星が出ていればのはなしだ、――もういいだろうと、ころあいを計ってうちへ帰ると、男が去っていることもあり、まだそこにいることもある。まだ男がいるときには、そっとあと戻りをして、まっ暗な草原や畦道をあるきまわるほかはない。いちど彼は失敗をした。帰ってみると灯が消えてい、母親の苦しそうな呻き声と、いまにも死ぬかと思うような荒い呼吸が聞えた。
――おっ母さんが病気なんだ。
彼はそう直感して家の中へ走り込み、おっ母さんどうしたのと叫んだ。すると呻き声がぴたっと止まり、やがて、へんにしゃがれた声で母親が云った。いまじぶんなにをのそのそ帰って来るんだ、外で遊んでこいって云ったのを忘れたのかい。それがどんな意味をもつ言葉なのかわからなかったが、彼はいそいで外へとびだした。
「なにかたいへん悪いことをしたような気持だった」と芳造は云った、「もう夜なかにちかかった、おらあ砂でも噛んだように、唾を吐き吐き草原のほうへ戻った」