Japanische Klassiker mit Furigana
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ますおとし
枡落し
山本 周五郎
Lesen Sie 枡落し (ますおとし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.765 Zeichen · 67 Bildschirme
六
千太郎はその場に辰がいて、事実を見ていたことを知っていたのだ。
六
「ただいま」と格子をあけておうめの呼びかけるのが聞え、「おっ母さんいて」
おみきはぼんやり「ああ」と答えた。
「どうしたの」おうめはあがって来ながら云った、「こんなに昏くなったのに明りもつけないで、気持でも悪いの」
「そうだったね、ちょっと考えごとをしていたもんだから、うっかりしてたよ」
「芳っさんが送って来てくれたのよ、ああ、行燈はあたしがつけるわ」
おみきは立って、土間に立っている芳造に礼を述べ、あがって下さいと云った。芳造はてれたように、ここでもう失礼すると云ったが、おみきにすすめられると案外すなおにあがって来た。おみきはそれとなく芳造の顔を見た。酒に酔ってでもいるのではないかと思ったのであるが、芳造は少しそわそわしているだけで、酒を飲んでいるようすはまったくなかった。おそくなって済みません、めしを喰べてきたもんですから、と彼は云った。そして坐りながら、なにか変ったことでもあったんですか、ときいた。おみきはどきっとし、おうめの持って来た行燈の火皿のぐあいを直しながら、芝居はおもしろかったかときき返した。