Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ますおとし

枡落し

山本 周五郎

Lesen Sie 枡落し (ますおとし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.765 Zeichen · 67 Bildschirme

Aozora Bunko

一

一

――ねえ、死にましょうよ、とおうめが思いつめたように云った。二人でいっしょに死にましょうよ、ねえ、おっ母さん。

表通りから笛や鉦や太鼓の、賑やかな祭囃しが聞えてきた。下谷御徒町の裏にいたときで、秋祭の始まった晩のことだった。

――あたし独りで死ぬのは怖いの、ねえ、おっ母さんもいっしょに死んで。

あのお囃しは備前さまのお屋敷の、こっちの角にある屋台でやっているのだ、と仕事をしながらおみきは思った。ここへ移って来てから五年とちょっとのあいだに、親子心中が三度もあった。今年の春あんなことがあってから、自分も娘といっしょに死んでしまおうと、幾たび考えたかわからない。あたしたち貧乏人は、どうしてすぐに死にたがるのだろう、生きているより死ぬほうが楽だと思うからだろうか。本当に、生きているよりも死ぬほうが楽なのだろうか、とおみきは思った。

――町をあるいていると、みんながあたしの顔を見るの、あれは人殺しの子だって、あそこへゆくのは人殺しの娘だよって、そういう眼つきでじろじろ見るの、あたしにはそれがはっきりわかるのよ。

表通りでは賑やかに、あんなに元気よく祭囃しをやっている。