Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ますおとし

枡落し

山本 周五郎

Lesen Sie 枡落し (ますおとし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.765 Zeichen · 67 Bildschirme

Aozora Bunko

ないが、千太郎という人がぐれだしたのにも、それなりのわけがあったのかもしれない、――そこなんだ、おんめちゃん、おらあおめえが好きだ、一生を賭けてもおめえを仕合せにしてやりたいんだ、――おばさんは千太郎という人がぐれだすまで、なんの苦労も知らなかったが、おれはこんな小さいじぶんから、みじめなくらしをいやっていうほどあじわってきた、おばさんは親のすすめで男と夫婦になったけれど、おらあ好きで好きでたまらなくって、おんめちゃんといっしょになりたいんだ、この二つの違いは、おばさんにもわかってもらえるんじゃあないかと思う」

おうめは黙って、膝の上で両手の指をこすり合わせていたが、やがて低い声で、囁くように云った、「――まえにも云ったでしょ、おっ母さんはあたしに、おまえ芳っさんが好きかえって、きいたことがあるって、――好きよ、ってあたし答えたことも、云った筈よ」

おうめが耳まで赤くなるのを見て、芳造も赤くなり、片手の拳で自分の膝を叩いた。

「二年うちに」と彼は昂ぶった声で云った、「おらあ自分の店を持つよ、少なくとも二年うちにな、待っていてくれるかい」

おうめはあるかなきかに頷いた。