Japanische Klassiker mit Furigana
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ますおとし
枡落し
山本 周五郎
Lesen Sie 枡落し (ますおとし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.765 Zeichen · 67 Bildschirme
そうして、もっとも大切なのは、芳造が心から自分を好いていてくれること、自分も芳造が好きだけれど、芳造のほうがもっと強く、自分に愛情をもっていることなどを、おうめは控えめではあるが臆せずに語った。
「そうらしいね」とおみきはまたぼんやりと云った、「あたしもそうじゃないかと思っていたよ」
「あの人ね、二年くらいで自分のお店を持つんですって」とおうめは云った、「おそくとも二年うちにはって云うの、そして、おっ母さんもいっしょに来てもらいたいって、自分は母親の味を知らないし、まえからおっ母さんを、本当の親のようだと思っていたんですってよ」
「そうらしいね」おみきは同じようなことを繰返した、「あのこの眼つきで、そうじゃないかと感づいてはいたのよ」
「じゃあ、おっ母さん、――いいのね」
おみきはゆっくりと振り向いて、「なにがよ」と云った。その表情と声とで初めて、母が自分の言葉をよく聞いていなかったのだ、ということにおうめは気がついた。
「おっ母さん」とおうめは恨めしげに云った、「あたしの云ったこと、聞いてくれなかったのね」
おみきは娘の顔を見て、苦いような微笑をうかべながら、脇のほうへ向いた。