Japanische Klassiker mit Furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme
暫くして胃の部分が熱くなり、そしてその熱感はすぐ消え、やがて身体の内側から皮膚にほのぼのとある感覚が拡がって来た。かなり長い間眼を閉じ背を幹にもたせていたが、暫くして眼をぼんやり開いて彼は腕で口の周りを拭き、そして高城に水筒を渡した。
「お前も飲め」
風景が急に生き生きと見えて来た。喬木の梢を風が渡るのが見える。道はうねりながら林の奥に消えていた。此処からは樹群がまばらで木々の長い影が地に落ちていた。疲労が快よい倦怠感に変って行くのがはっきり感じられた。
(あの男は何者だろう?)
マニラから逃げて来たと言うからには、在留邦人の一人かも知れない。態度から見て善良な世渡りをしていたとも思えない。生活力の強そうな感じの男だったが、何故東海岸に逃げようとしないのか。それはまだ食糧をかくし持っているからに違いないのだ。あの否定ぶりが怪しかった。女房でも無い女と何をたのしみにしてあの小屋に留まろうとするのか。
あの狂女の白い肉体が急に激しく宇治の頭に拡がって来た。それと同時に男の卑しげな犬歯の印象がそれに重なった。その印象が意味するものが、今の俺と何の関係があるのか。