Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme

Aozora Bunko

笑いがまたこみ上げて来るのを、彼は感じた。

「よろしい。いい方法がある」

丹尾はトランクを開いて、鋏を取出した。そして内ポケットから、一万円紙幣を二枚つまみ出した。五郎の出した二枚の紙幣と重ねる。縦にまっ二つに切った。切り離した半分を、彼に戻した。彼は黙ってその動作を見て、受取った。

「これでいいでしょう。これであんたの二万円も、ぼくの二万円も、使いものにならなくなった」

残りの半分を丹尾は内ポケットにしまい、上衣をぱんぱんと叩いた。

「いっしょにつなぎ合わせれば、四万円として使える。そうでしょ。飛び込めばパアとなる。逃げ出しても、ぼくはこれを使えない」

「半分あれば、日本銀行に持って行くと、一枚として認められるんじゃなかったかな」

「冗談でしょう。半分が一枚に通用するなら、世のサラリーマンは自分の月給をじょきじょき切って二倍にして使うよ」

「それもそうだね。君が逃げ出すと、両方損だ」

丹尾はゆっくり立ち上った。トランクを持ち上げる。

「トランクも持って行くのかい?」

「ええ。何も持たないと、自殺者と間違えられる」

「だって自殺するんだろう」

「自殺するとは言いませんよ」