Japanische Klassiker mit Furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme
何をするのかと思っていると、入口の所に踏台をおいて、それに登ろうというのです。処が身体が利かないもんだから、二三度転げ落ちて地面にたおれたりしましてね。何とも言えず不安になって、私は思わず双眼鏡持っている掌から、脂汗がにじみ出て来ましたよ。そして終に踏台に登った。梁に取りついて、縄をそれに結びつけ、あとの垂れた部分を輪にして、二三度ちょっと引張ってみて、その強さをためしてみる風なんです」
「――首を吊る」
「いよいよこれで大丈夫だと思ったんでしょうね。あたりをぐるっと見廻した。するとすぐ真後の六尺ばかり離れた処に、影のように、あの男の子が立っているのです。黙りこくって、じっと爺さんがする事を眺めているんです。爺さんがぎくっとしたのが、此処まではっきり判った位です。爺さんは、縄をしっかり握って、その振り返った姿勢のまま、じっと子供を眺めている。子供も、石のように動かず、熱心に爺さんを見つめている。十分間位、睨み合ったまま、じっとしているのです。その中、がっくりと爺さんは、踏台から地面にくずれ落ちた。男の子は、やはりじっとしていて、手を貸そうともしない。