Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.285 Zeichen · 330 Bildschirme
綱宗の眼がするどく光った。酔いの出た顔がいっそう硬ばり、いまにもどなりそうにみえたが、こんどもまた怒りを抑えて、もっと飲めと云った。お方、酌をしてやれ、今夜こそ酔わせて本心を訊くのだ、「酔え、原田」と云い、自らも盃を取った。
「甲斐はまえに、すべて事実無根だと云い、いまも同様にしか云えぬという、だが、あのときから今日まで、家中にはいろいろと穏やかならぬ事が起こっている、おれに対する幕府の譴責が、兵部と酒井侯の通謀によって作られたように、この三年間に起こった家中の紛争も、やはり兵部の手で操られ、兵部の望む方向へと動かされている、甲斐がいかに事実無根だと申しても、現にそれが事実としてあらわれていることは否定できまい」
「私は酔ったようでございます」と甲斐は盃を置き、両手で顔を押えて、その手を膝におろしながら云った、「酔って申上げることですから、ごきげんに障ったらお許しを願いますが、ただいま仰せられたようなことは、殿が御心痛あそばすべきことではございません、まして、軽がるしく人の名をあげ、臆測に類することをお口に出されることこそ、却って御家の内に不穏の種を蒔くことになります」