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Japanische Klassiker mit Furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.285 Zeichen · 330 Bildschirme

Aozora Bunko

「樅ノ木へ小鳥が巣をかけましてね」と歩きながら玄察が云った、「なんという鳥かわからなかったが、枝が枯れてはいけないと思って、三日ほどまえに巣を毀させておきました」

良源院の庭にある樅ノ木のすがたが、ふと眼にうかび、久しく見ずにいたな、と甲斐は思った。

「樅ノ木にも巣をかける鳥があるのですかな」と玄察が云った。

甲斐は急に立停った。そこは、ゆるやかな勾配をおりて、松林へはいる手前のところだったが、左手の竹藪の中で人の動くけはいがし、誰かが道へ出て来るように感じたのである。――急に甲斐が立停ったので、久馬も足を停めて、うしろへさがった。すると、一人の男が竹藪の中からとびだして来て、「原田どのか」と呼びかけた。

みんな立停り、先頭にいた案内の侍が、こちらへ提灯をさし向けた。

「原田甲斐どのだな」とその男が云った。

その男は足袋はだしで、袴の股立をしぼっていた。まだ二十一、二だろう、精悍そうな顔だちで、殺気立った眼つきをしているのを、甲斐は認めた。

案内の侍が、高く提灯をさしあげ、甲斐が、「そうだ」と答えた。

男は「奸物」というような叫びをあげ、抜き打ちに甲斐へ斬りつけた。