Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.285 Zeichen · 330 Bildschirme
「私はまだ生きている、国老の任も解かれてはいない」と新左衛門は激しく喘いだ、「また、あの誓紙は、私ひとりが受取ったのではなく、伊達家臣ぜんたいに対する、誓約だ、両後見から、全家中が受取った、誓約なのだ」
そこで新左衛門は絶句した。
絶句したとみえた新左衛門は、激しい咳におそわれた。衰弱しきった、骨だけのような躯が、夜具の中でよじれ、いまにも息が止まるかと思われるほど苦しんだ。七十郎は立っていって、うしろへまわり、手をさし入れて、新左衛門の背を撫でた。
甲斐はじっと坐っていた。
喉に痰がからんでいて、それがとれないらしく、激しい咳は止まったかと思うとまたこみあげ、その苦痛とたたかうために、新左衛門の顔はどす黒く変ったし、額はあぶら汗で濡れた。――ようやく痰が切れて、七十郎はそれを拭き取ってやり、それから薬湯で口を湿してやった。新左衛門はやや暫く、精根の尽きはてたように、眼をつむったまま、弱よわしく喘いでい、そうしてやがて、「お聞きのとおりだ」と云った。甲斐に呼びかけたのだろう、甲斐は黙って頷いた。
「一ノ関が、あの三カ条の誓紙を、返せと云って来ている」