Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.285 Zeichen · 330 Bildschirme
――そうだ、あの眼だ。
と新八は心のなかで呟いた。
――おれはあの眼が怖い、あれはおれの性根を見ぬいている眼だ、おれがどんなに腐っているか、どんなに堕落した人間かということを、底まで見やぶっている眼だ。
新八は呻き声をあげた。
「どうしたのさ、聞いてるの」と女が新八をゆすった、「ごまかしてもだめだよ、あんたのやりかたは箔が剥げちゃったんだもの、教えられたことは知ってても、そのとおりに繰り返すだけじゃないのさ、だから初めにはびっくらしたけれど、四たび五たびとなるとこっちが却ってじれったくなるよ、今夜なんかじれったいだけだよ、ねえ、ほんとに年は幾つなの、二十まえでしょ」
「少し黙れ、少し黙ってくれ」
「あたしが当ててやる、十九かな、十八かな、きっと十八だよ」
女は手と足で絡みつき、のしかかろうとした。新八は女を押しのけて、乱暴に起き直った。
「うるさくすると帰るぞ」
「帰すもんかさ」
新八は立ちあがった。
女もはね起きて、彼を羽交い絞めにした。帯をしめていないので、寝衣がはだけ、肥えた、肉の厚い、女の躯があらわになった。よせ、本当に殴るぞ、と新八が云い、「殴ってよ、殴んなさい、殴らないのかさ」