Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.285 Zeichen · 330 Bildschirme
新八はみじめに狼狽し、それはできることなら、本名を知られたくなかったからである、と答えた。こんなところで本名をなのっては、身の恥にもなるし、知友に知られても困るから、などと、しどろもどろに云った。
「よし、わかった」と男は立ちあがった、「済まないがちょっと番所まで来てくれ」
「どういう理由です」
「住所を偽わり、名をかたり、年不相応な金を遣っている」
「不相応な金だって」
「そうさ、おまえは此処でだいぶ遊んでいるようだ、女は二度ばかりといったが、階下で訊いたらもう五たびも来ている、そんな金をどうして手に入れた」
新八はふるえた。道場の金をごまかしたという事実が、非常な重さで彼を押えつけ、その重さで、骨が鳴るように思えた。新八はふるえながら、しかしそのくらいのことで、侍一人を拘引できるのか、とけんめいに訊き返した。
「辻斬りがあったんだ」と男は云った、「ゆうべ宵のくちに、御成り小路で辻斬りがあった、浪人ふうで、年ごろも似ているんだ」
「それなら刀を見て下さい」と新八が云った、「人を斬ったかどうか、刀を見ればわかる筈です、階下に預けてある刀を見て下さい」
男は冷笑した。